430MHz⇒1200MHzへアップコンバートする際に懸念される帯域内スプリアスを低減する手段について、実際に使用するミキサ(DBM:RMS-11X)を使用して検討してみました。ここで言う帯域内とは送信出力フィルタで除去することができない1260-1300MHzのアマチュア帯域内に発生する帯域のことです。

先に「送信ミキサ検討 - RMS-11X -」で検討したシールド処理されたミキサを使用してローカル発振器とミキサの間に挿入し、ローカル発振器で発生される高調波抑圧の効果を調査しました。
■ 3次LPF挿入
スプリアス抑圧目的で検討した3次LPFを挿入してみました。「ローカル信号高調波除去 - 集中定数LPF -」参照
使用した3次LPFの特性はローカル発振器の二倍高調波に対する抑圧は25dBあり、帯域内スプリアスがこのローカル発振器の高調波に依存するのであればそれなりの帯域内スプリアス除去に効果があるはずです。
3次LPFを挿入した際のミキサ出力スプリアス特性を示します。

ミキサのみの時に比べ5dB程度のスプリアス低減となっていますがローカル発振器の二倍高調波に対する抑圧は25dBほどの効果はなく、ミキサ出力のスプリアス発生のメカニズムはローカル発振器の高調波だけによるものではないことが想像できます。
■ アイソレータ挿入
ローカル高調波除去に使えるかなということで試しに実験したアイソレータを使用してみました。「ローカル信号高調波除去 - アイソレータ -」参照
ローカル信号の二倍高調波に対して20dB程度の減衰量があり、先のLPFより減衰量が5dBほど少ない特性です。
アイソレータを挿入した際のミキサ出力スプリアス特性を示します。

3次LPF挿入の時とほぼ同程度のミキサ出力のスプリアス量であり、ローカル発振器の高調波に全て依存していないのではと思える結果となりました。
考えられるのはミキサ部での帯域内スプリアス発生メカニズムの存在です。アイソレータ挿入時に得られたスプリアス低減効果のメカニズムとして考えられるのは次の二点です。
・アイソレータ機能(S12特性)
ミキサで発生した反射波をアイソレータが吸収することによる効果(メカニズム不明)。3次LPF挿入時と比較してわずかな1.5dB程度の効果がある。
・ミキサのRL(リターンロス)改善
ミキサ(パッシブDBM)は50Ωに整合された部品ではなく、いずれかのポートが50Ωに整合されていないと他のポートも整合が得られません。パッシブDBMが登場したころ当時のOMからDBMを使うときはポートに3dBのパッドを入れなさいと言われたことがありましたが、これが理由かなと思っています。
上記二点はあくまで想像上の仮説です。現状では想像の域を脱する事実はありません。


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