2021年7月20日

8592AのTG化 -バラック実験-

トラッキングジェネレータを構成する各ブロックの実験が終わったので、すべてをバラックで組み、実験をしました。
Barrack_test_1a.jpg
IFアンプを挿入し、TG出力レベルが上がりました。
Barrack_test_2.jpg
しかし、2800MHz付近でディップが発生しています。
IFアンプの入力段を手で触ってみると、ディップの状態が変化します。
ミキサのIFポートとIFアンプの入力段の間で何か起きているようです。
DBM(パッシブ)を初めて知った40年前には、OMから『DBMは各ポートのSWRが高く、リターンロス改善のためのパッド(ATT)を入れなさい』と教えられていました。
Barrack_test_1.jpg
3dBのアッテネータをミキサとIFアンプの間に挿入すると、ディップが改善されました。
Barrack_test_3.jpg
DBMのIFポートとIFアンプの入力段の間で、定在波が立っていたようです。

Barrack_test_4.jpg
TG出力を8592AのRF入力に接続し、スペアナのノーマライズを行った後にTG出力をオフにした時のノイズレベルです。
Aバンドフルスパン(Res BW:300kHz)時に40~60dBのダイナミックレンジが得られています。
8592Aの最小Res BWは1kHzなので、65~85dBのダイナミックレンジが得られます。

ここまでの実験で、8592A用のトラッキングジェネレータが構成できることがわかりました。
これまでの基本構成に加え、いろいろな機能を追加しようと考えています。
その構成を考えてプリント基板を作成し、制御用プログラムを作り......、完成までだいぶ時間がかかります。
何か進展があったらまた報告します。

2021年7月19日

8592AのTG化 -IFアンプの実験-

トラッキングジェネレータの出力用増幅部です。
周波数範囲は、8592AのAバンド、0-2.9GHzです。
必要な利得は、後から周波数-振幅特性を補正することを考えると、15~20dBは欲しいところです。
使用したのは、ミニサーキットのGALI-S66+です。
Data_sheet1.jpg
Data_sheet2.jpg
実験用のプリント基板を手づくりしました。
GALI-S66+_1.jpg GALI-S66+_2.jpg
GALI-S66+は+9Vでドライブしますが、ローカル信号用アンプ、YSF382+を駆動するための+5Vのレギュレーターも搭載しました。

作成したIFアンプの周波数 vs 利得特性を測定しました。
F_vs_Gain.jpg
ミキサのIFポートの高域減衰に、本アンプの高域減衰が加味されるので、補正回路が必要になりそうです。

2021年7月18日

8592AのTG化 -トラッキングジェネレータの実験-

ローカル信号とミキサがバラックですが、TG動作するかテストしてみました。
TG_test1.jpg
TG出力(DBMのIF出力)を直接8592AのRF入力に接続した状態です。
TG_test2.jpg
Aバンド(0~2.9GHz)のフルスパンの状態です。
ADF4350の出力周波数を調整し、TGレベルが最大になるように調整します。
Res BWを狭帯域に設定した場合は、細かな周波数調整が必要になります。
IFアンプを挿入していませんので、TG出力は-30~-10dBmとなっています。

スペアナのノーマライズ機能を利用した状態です。
TG_test3.jpg
ノーマライズ設定を-10dBmにした状態です。
この状態でスペアナのRF入力をオープンにした時のノイズレベル(スペアナの内部雑音)です。
TG_test4.jpg IFアンプの無い状態でのノーマライズですので、ノイズレベルが上がり、ダイナミックレンジが30~50dBしか得られていません。
TG_test5.jpg
手元にあったフィルタを観測してみました。(ひどい特性!)

IFアンプを作ってから再度確認します。

2021年7月17日

8592AのTG化 -パッシブミキサの実験-

パッシブミキサ(DBM)の実験を行いました。
DBMの各入出力信号は以下の通りです。
・ローカル信号 : 3.62GHz近辺
・RF信号    : 3.6~6.5GHz(8592Aの1st Local信号
・IF信号    : 0~2.9GHz(TG出力信号)

ミニサーキットのMCA1-60+を使用します。
MSA-60+_Data.jpg
IFポートの周波数範囲が、DC-2000MHzとなっているのが若干気になります。

生PCBにパターンをカットして基板を作りました。
MSA1-60+_1.jpg MSA1-60+_2.jpg
RF信号に8592Aの1st Local出力を接続し、LoポートにはADF4350から3620MHz、+6dBmの信号を入力しました。
8592Aの1st Local出力信号周波数を変化させて、IFポートの振幅を測定しました。
MSA-60+_Gain.jpg
IFポート出力が、RFポート周波数が高くなるにつれて低下していきます。
これはIFポートの周波数が高くなるにつれて、変換損失が増大するためと思われます。
MSA-60+_IF.jpg

2021年7月16日

8592AのTG化 -ローカルアンプの実験-

パッシブミキサ(DBM)を駆動するための、ローカル信号増幅器です。
前回、PLLシンセサイザ:ADF-4350の出力を観測しましたが、3620MHzでの出力レベルは最大で+6dBm程度でした。
DBMを駆動するのには7~10dBm程度は必要で、DBMのリターンロス改善用パッドを挿入することを考えると、10~13dBmは欲しくなります。

今回使用するデバイスは、ミニサーキットのYSF-382+です。
YSF-382+_1.jpg
YSF-382+_2.jpg
周波数範囲、Gain、P1dB等、要求仕様を満足しています。

PCBをカッターで加工して、実験用基板を作りました。
YSF-382+_3.jpg
YSF-382+_4.jpg
実装が終わり特性を測定しようとしたら、異常発振が観測されました。
このデバイスは裏面にGNDのパッドがあり、この部分が不完全な半田付け状態だったのが原因でした。
YSF-382+_GND.jpg
GNDパッドと接触する基板部分と、デバイスのGNDパッド部分に薄く半田揚あげをして、基板のGND部分をはんだごてで熱して接続します。
YSF-382+_Gain.jpg
周波数に対する利得がだいぶばらついていますが、単一周波数での使用なので気にしません。3620MHz近辺での利得は+11dBとなっています。
YSF-382+_in_out.jpg
出力が+15dBm以上でも飽和していませんので、DBMの駆動に十分使えます。

2021年7月15日

8592AのTG化 -ローカル発振器に使用するADF4350評価基板-

8592A用のトラッキングジェネレータを構成するうえで必要なローカル発振器には、アナログデバイゼスのADF4350の評価基板、EVAL-ADF4350を利用することにしました。
あくまで実験用なので、これをTGの動作チェックに使用します。
EVAL-ADF4350.jpg
PCとUSB接続し制御用ソフトで周波数、周波数ステップ、出力レベル等を設定できます。
電源はUSB5Vから供給できます。
ADF-4350_CTRL.jpg
本デバイスは、137.5MHz~4400MHzの範囲で出力を得られる、VCO内蔵のフラクショナル型PLLを構成しています。
VCOの基本発振周波数は、2200~4400MHzで、それ以下の周波数は2/4/8/および16分周出力となります。
また、差動出力となっていて使用しない出力ポートは50Ω終端して使用しました。
終端しなくても出力レベルに影響はありませんが、アンバランスとなり不要輻射が増加する懸念があります。

今回は3620MHz近辺で使用しますが、Bバンド(2.77-6.17GHz)用のTG化を視野に入れており、他の周波数の出力レベルも測定しました。
ちなみにB-Eバンドの1st IFは320MHz近辺でした。
Freq_vs_Output_2.jpg
評価ボードの出力設定を+5dBmに設定した時の周波数に対する出力レベルの特性です。
出力レベルは、-4、-1、+2、+5dBmの4段階で設定できます。
3620MHzでは+6dBmの出力が得られています。
1GHz以下の周波数で出力レベルが低下しているのは、ADF4350の出力段のマッチング回路定数が高い周波数で最適化されてるためで、320MHzで使用するにはVVCOとRF OUT端子間のインダクタ値を変更する必要がありそうです。
Aバンド用にはこのままで、Loアンプを挿入してDBMに供給できそうです。

2021年7月14日

8592AのTG化 -実験用構成の決定-

8592AのAバンド(0-2.9GHz)用のトラッキングジェネレータの構成を考えました。
バラックで組んで確認する、実験用構成です。

TGテスト構成.jpg
ローカルオシレータ
アナログデバイゼスのPLLシンセサイザIC:ADF4350の評価ボード(EVAL-ADF4350)が手元にありましたので、これで3.62GHzを生成します。 PCとUSB接続で、周波数、出力等様々な設定が可能です。

ローカルアンプ
パッシブミキサ(DBM)を駆動できるように、ローカル信号を増幅します。
使用デバイスは、ミニサーキットのYSF-382+です。
 周波数範囲 : 3.3~3.8GHz
 Gain    : 14.5dB(typ) at 3.6GHz
 P1dB    : 20dBm(typ) at 3.6GHz

ミキサ
ミニサーキットのダブルバランスドミキサ、MCA1-60+です。
 Lo/RF   : 1600~6000MHz (8000MHzまで使用可)
 IF     : DC~2000MHz
 変換損失  : 6dB前後
 Lo入力   : 7dBm
IF帯域が2GHzまでとなっているので、2GHz以上の帯域で変換損失が大きくなることが予想される。

IFアンプ
ミニサーキットのGALI-S66+を使用。
 周波数範囲 : DC~3GHz
 利得    : 16.4dB(typ) at 3GHz
 P1dB    : 3.3dBm(typ) at 2GHz

Equalizer
DBMのIF帯域が2.9GHzまで伸びていないので、振幅補正(等化)が必要となった場合に挿入する。
スペアナでの補正も可能なので、不要かもしれない。

実験用構成を決定後、ミニサーキットにデバイスを発注しました。

2021年7月13日

8592AのTG化 -1st Local/1st IF 周波数調査-

HPのスペアナ、8592Aに外付けのトラッキングジェネレータを構成するうえで、フロントパネルに出力されている1st Localの周波数を測定し、スペアナ内部の1st IF周波数を調べる必要があります。

8592Aの諸元を調べると、測定範囲の50kHz~24.05GHzは5つのバンドに分かれています。
便宜上5つのバンドをAからEバンドとします。
・A : 0-2.9GHz
・B : 2.77-6.17GHz
・C : 6.0-12.8GHz
・D : 12.4-19.4GHz
・E : 17.05-24.05GHz
となっています。
1st Local 周波数範囲は、3.0-6.6GHzとなっています。

スペアナの構成がわかれば、トラッキングジェネレータの構成を決定できます。
スペアナの入力段の概略構成は下図のようになっています。

スペアナ構成.jpg

RF入力された信号は、1stローカル信号と混合され、1st IF周波数に変換されます。
8592Aでは、アッパーローカル周波数(fLO)となっています。
したがって、1st IF周波数:fIFは、
  fIF = fLo - fRF
となります。
トラッキングジェネレータは、掃引されるスペアナの測定周波数と同じ周波数の信号を出力する必要があります。
測定周波数(RF)に対する1stローカル周波数(fIF)がわかれば、1st IF周波数(fIF)を算定できます。

トラッキングジェネレータの概略構成を下図に示します。
TG構成.jpg
スペアナのIF周波数と等しい周波数のローカル信号と、スペアナから供給される1stローカル信号を混合することによって、スペアナの測定周波数(fRF)と等しいTG出力信号を得ることができます。

892AのAバンドの測定周波数と1stローカル周波数の関係を測定してみました。
測定方法は、8592Aのセンター周波数を被測定周波数とし、ゼロスパンとすることで1st rローカル周波数を固定し、別のスペアナ(R3265A)で1stローカル信号を観測しました。
測定結果を下図に示します。
1st_Local_Band_A.jpg
測定結果から、1st IF周波数は3.62GHz近辺であることがわかりました。
ここで正確な周波数は必要ではありません。スペアナの2nd/3rdローカル信号のドリフトがありますので、後ほど細かい周波数調整が必要になります。
スペアナの基準信号(10MHz)を使用し、同期したローカル信号を生成する必要があるかもしれません。

同図にローカル信号振幅も併せて示していますが、帯域内で振幅が最大6dB変動していることがわかります。
これはそのままTG出力変動として現れます。これは補正する方法があるのでここでは気にしません。

他のバンド(B-E)も併せて調査しました。
B-Eバンドの1st IF周波数はすべて320MHz近辺でした。
Cバンドでは1stローカル信号を2逓倍、Dバンドでは3逓倍、Eバンドでは4逓倍されている様子でした。

次回はトラッキングジェネレータの構成(実験用)について考えてみます。

2021年7月12日

久しぶりのブログ再開

10年以上ブログの更新をしていませんでした。

古い真空管受信機のレストアもほとんどやっていませんでした。

最近何気なくYahooオークションを眺めていて、スペクトラムアナライザを落札してしまいました。
8592A_1.jpg
30年以上前によく目にしていた、HPの8590Aシリーズのスペクトラムアナライザで、測定周波数範囲が50kHz~22GHzである『8592A』です。
8592A_2.jpg
オークションでは動作保証のない現状品でしたので、動作確認を行いました。

8592A_3.jpg RF入力の左に、CAL出力(299.9MHz -20dBm)、100MHz COMB OUT、1st LO OUTPUTが出力されています。
今回はコムジェネレータ出力で測定範囲である22GHzまで表示できるのか確認しました。
8592A_4.jpg 8592A_5.jpg
左の画像は、10~11GHzの帯域でのコムジェネレータ出力、右の画像は、21~22GHz帯域でのコムジェネレータ出力を確認したものです。
20GHz帯でレベルが低下しているのは、コムジェネレータの出力が低下しているものと思われます。

一つ問題点がありました。
内蔵アッテネータの20dBと30dBに動作不良がありました。アッテネータは内部でメカニカルに切り替えているようですが、接点不良があるような状況です。
このレンジ(ATT)は使用しないようにします。

1st LO出力がフロントパネルにあるのを見て、ある野望が浮かんできました。
『トラッキングジェネレータ(TG)が作れそう!!』というものです。

TG化のための予備実験を含め、順次紹介していきます。